合成開口レーダー

合成開口レーダー(synthetic aperture radar; SAR)は、レーダーの一種で、航空機や人工衛星に搭載し、移動させることによって仮想的に大きな開口面(レーダーの直径)として働くレーダー。

 

一般的にレーダーは、通常マイクロ波もしくはミリ波と呼ばれる電磁波を対象物に照射し、反射して返ってきた信号を分析して対象物を観測する。マイクロ波は可視光などに比べて波長が長いため、雲などの影響を受けずに観測ができる。電磁波を使った観測機器のレンズやアンテナなどの分解能は波長に比例するため、マイクロ波をつかうレーダーは同じ直径の光学レンズの10万分の1程度と分解能が非常に低い。光学レンズ並に分解能を向上するにはアンテナの直径を極めて大きくする必要があり物理的に困難で、これを解消するために合成開口レーダーが開発された。

 

合成開口レーダーの概念は、軌道上に仮想的なアンテナをいくつも並べたものである。軌道を移動中に送受信を繰り返し、受信した電波を、ドップラー効果を考慮に入れて合成し、分解能を向上させている。「小さな開口面であるアンテナを合成して大きな開口面であるアンテナを実現する」ことから「合成開口」と呼ばれる。これは移動方向の分解能向上であるアジマス圧縮の説明で、移動方向と直交方向の分解能向上であるレンジ圧縮効果は、短時間で送信波の周波数を変化させて擬似的にドップラー同様の効果を実現して得る。

 

合成開口レーダー(SAR)衛星は、太陽光を光源として撮影するのとは異なり、自ら電波を照射し、その反射情報から地表面を観測する。このため、夜間においても地表面の情報が取得できる。

 

 

国土地理院で利用している主なSAR衛星

先進レーダ衛星 打ち上げ             2022年度予定

「だいち2号」の後継機として宇宙航空研究開発機構JAXA)により打ち上げ予定です。

だいち2号打ち上げ          2014年5月24日

「だいち」の後継機として宇宙航空研究開発機構JAXA)により打ち上げられました。

だいち 打ち上げ             2006年1月24日

地図作成、災害状況把握、資源探査等を主目的とし、宇宙航空研究開発機構JAXA)により打ち上げられました。

ふよう1号打ち上げ          1992年2月11日

資源探査を主目的とし、宇宙開発事業団(当時)と通商産業省(当時)が共同で打ち上げた衛星。合成開口レーダーに加えて可視・近赤外域と短波長赤外域の2種類の光学センサーを搭載しています。

 

立体赤色地図で有名な航空レーザ測量では

https://www.gsi.go.jp/kankyochiri/Laser_senmon.html

https://www.gsi.go.jp/chubu/minichishiki11.html

近赤外パルスレーザ(波長1064ナノメートル:nm)が用いられていて、有視界で行われているんでしょうね。

 

ちなみに

電子顕微鏡はなんで光学顕微鏡より良く見えるかというと

電子線の波長が

https://wakariyasui.sakura.ne.jp/p/atom/ryuuha/doburoi.html

でとても短いから。